次期院長の強引なとろ甘求婚
まさか、体に支障をきたすほど苦しんでいるのか。
ここに来るということはそういうことで、なんとしてでも治してあげたいと思った。
しかし、それには根本からの解決が不可欠。
たまたま会った駅前で、彼女は他店を眺めながら唐突に告白してくれた。
お店を、閉めることになりそうだと。
話の内容から、経営が思わしくないという事情は汲み取れた。
でも、そう思えないほどにお店は活気づいている記憶しかなかった。
だからそんな事情に、あの時はピンと来ていない部分も大きかったのだ。
近いうちにまたお店に出向いて、良かったら話を聞かせてもらえないかと言うつもりでいた。
そう思っていた矢先に彼女の方から思わぬ理由と形で訪問されて、柄にもなく慌ててしまったのは言うまでもない。
自分でも、こんな風に誰かを気に掛けることは、家族以外には珍しいと内心驚いている。
それでも、気持ちの方が先行して勝手に行動にしてしまうから、後からこうしてうじうじと後悔している。
もう少し慎重になれなかったのか……と。
しかしそうやって気持ちが急くほど、自分にとってもあのお店は大切に思える場所にいつの間にかなっていた。