次期院長の強引なとろ甘求婚
病院で話を聞いてくれたのは、三角先生の仕事であって、診察の中で必要なことだから。
その延長線上で、行きつけの花屋の人だからと、連絡先を渡してきたのだと解釈していた。
だからうちにやって来て、お店を支援したい、負債を引き受けるなんて、到底信じられる話ではなかった。
更に信じられなかったのは、代わりに私との交際を申し込まれたこと。
それも、結婚を前提にだなんて、耳を疑うしかないことを言われた。
もちろん、あのあといくら時間が経っても現実だと受け入れることができない。
こうして今から三角先生と顔を合わせるという今だって、信じることができないでいる。
どうして、そんなことを言ってくれるのか。
三角先生にとって、うちはたまに利用している花屋というだけ。
それなのに、うちのお店を助けたいなんて、三角先生にはなんのメリットもないのに……。
再診のため、今日は直接心療内科の外来に向かい、受付けを済ませる。
待合いの椅子に腰を下ろすと、一気に緊張が高まった。
あの向こうの扉に三角先生がいると思うと、この間のことが頭の中に鮮明に蘇って動悸がしてくる。
今日も番号で順番が呼ばれ、高まる緊張の中診察室の扉に手をかけた。