次期院長の強引なとろ甘求婚


「失礼、します」

「こんにちは、どうぞ」

「はい……お願いします」


 ドアの向こうにいた三角先生は、今日もこの間と同じようにデスクについて私を迎え入れた。

 この間のことなんてやっぱり夢だったみたいに、何事もなかったような顔をしている。


「その後、お変わりないですか?」

「はい。おかげさまで、すっかりいいです……」


 淡々と質問をし、診察を進めていく三角先生。

 その様子に、最高潮になっていた緊張が徐々に和らいでいく。

 考えてみれば、そうだよね。

 病院の診察で来ているんだもん、ここでいきなりこの間の続きの話をされるなんてこと……。


「――診察はここまで。で……この間の話、少しは考えてもらえたかな?」

「……。へっ」


 ぼんやりとしていたところで不意を突かれ、間抜けな反応を見せてしまう。

 目を合わせた私に、三角先生はにこりときれいな歯を覗かせて笑いかけた。


「連絡、いつもらえるのかなって待ってたんだけど、一向にくる気配がないから」

「あ……それは、その」

「やっぱり、迷惑だったかな。押しつけがましいことしちゃったかもって、あとになっていろいろ考えちゃってさ」

「そっ! そんなことないです!」

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