次期院長の強引なとろ甘求婚


 後悔を滲ませた三角先生の言葉に、思わず声のボリュームが上がる。

 そんな私の様子に、三角先生は一瞬、奥二重の切れ長な目を大きくし、驚いたような表情を見せた。

 迷惑なんてとんでもない。

 押しつけがましいなんて、一ミリたりとも思うはずもない。

 それをどこから伝えたら上手く伝わるのかわからなくて、ただ真剣な目で三角先生の顔を見つめてしまう。

 そんな私がおかしかったのか、三角先生の驚いた顔がふにゃっと弱った笑みを浮かべた。


「そっか……それなら、よかった」

「いえ。なんか、ごめんなさい……私に、勇気がなくて、連絡なんておこがましいって思ったりして……」

「おこがましい? それを言うなら、俺の方でしょ。お付き合いさせてもらいたいなんて、あの場でご両親に言ったんだから」


 突然、あの晩の話を持ち出して三角先生がそんなことを言うものだから、顔がぼっと熱くなる。

 あからさまに赤面したのを感じて、どこを見たらいいのかわからなくなった。


「でも、そんな風に言ってもらえるってことは、少しは前向きに考えてもらえてると思っていいのかな?」

「それは……はい。でも、あの」

「……?」

「どうして……こんな話を持ち掛けてもらったのか、わからなくて……」

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