次期院長の強引なとろ甘求婚
「未久さんは苦手なものとかある? アレルギーは……確かないって言ってたよね」
「あ、はい。特に何もないです」
私からの返事を聞いた三角先生は、「じゃあ……」とそのまま控えていた黒服のスタッフにメニューから注文をしていく。
黙ってその様子をじっと見守っていると、「かしこまりました」とスタッフの男性は席を離れていった。
天井まで広がる大きな窓からは、公園のような広い洋風庭園が広がる。
様々な草花が咲き、立派な木々も多くあり、ここだけを見ていると都内にいるとは思えない景色が広がっている。
庭の中央の方には、白い立派な噴水も見えていて、とっても癒される景観だ。
まだ明るい時間だけど、陽が落ちてライトアップでもされたら、また違う表情を見せてくれそうだ。
「急にお誘いしちゃって、なんかごめんね」
「えっ、いえ! そんなことは、全然……」
「そう? それならいいんだけど」
すぐにさっきの黒服のスタッフが「失礼いたします」と戻ってきて、用意されていたグラスにスパークリングウォーターを注いでいく。
続いて目の前に、白い皿に載せられたカクテルグラスに入った前菜料理が置かれる。
グラスの中には赤いジュレの上に小エビとキャビア、ハーブが載っていて、黒服のスタッフは「トマトとストロベリーのジュレでございます」と説明をしていった。