次期院長の強引なとろ甘求婚
「本当ですか? 結構、態度と顔に出てしまっていたような気がするんですけど……三角先生って、もしかして鈍感ですか?」
「え、鈍感?」
「はい。周りに先生に好意を持つ人が存在しても、気付かなかったりとかして……」
探るようにそう言ってみると、三角先生は爽やかに「いや、そんなことはないよ」と否定する。
三角先生の容姿とスペックからいって、間違いなくモテるに決まっている。
謙遜なのか、やっぱり気付いていないだけなのか、私は「そんなことあるはずですよ!」とつい言い返してしまった。
「まぁ、俺のそんなことは置いておいて……さっきのは、本当なの? 俺がお店に来るの、楽しみにしてくれてたっていうの」
少し砕けた感じのやり取りをしていたところで、三角先生が確信に迫る。
どきりとしながらも、意を決してこくりと頷いた。
「そっか……いや、なんか信じられないっていうか……やばい、すごい嬉しい」
端整な顔ではにかんで、今まで見たことのない可愛らしい表情を見せる三角先生。
こんな顔をするのかと胸がきゅんとして、釘付けにさせられる。
「じゃあ、これって……前向きな返事をもらえたと解釈していいのかな?」
前向きな、返事……。
「はい……」
私の返事を聞いた三角先生が、ホッとするような優しい笑みを薄い唇に載せる。
「ありがとう。必ず、お店は守ると約束する。これから、よろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」と答えながら、自分の速く激しくなった鼓動が大きく身体中に響いていた。