次期院長の強引なとろ甘求婚
約束の朝の衝撃事件
「ただいまー……」
帰宅して玄関を入ると、すぐに両親が揃ってリビングを出てきた。
今まで、こんな風に帰宅を迎えられたことはない。
二人揃って飛んでくると、「ど、どうだった?」と、母親が待っていましたといわんばかりに切り出した。
まだ玄関も上がってないのに、と思いつつ「うん」ととりあえず返事ひとつミュールを脱ぐ。
「え、うん、って何よ? 三角さんと一緒だったのよね?」
「うん。何か、すごいいいフレンチレストランでご馳走になって、ここまで送り届けていただいた」
ざっと概要を話したところで、ふたりはあっと驚き、リビングに入っていく私を追いかけてくる。
ちょうど夕飯中だったらしく、ダイニングテーブルの上には二人分の夕食が並べられていた。
我が家は今日は中華だったらしく、チンジャオロースに卵スープが並ぶ。
「それで? どうしてそういう展開になったんだ」
荷物を置いた私に、今度は父親が続きを追及してくる。
まだ話は長くなりそうで、バッグを置いたソファに腰を下ろした。
ふたり揃って私の周囲を囲うもんだから、「話すから、とりあえずご飯食べなよ」とテーブルにつくように促す。
しぶしぶといった様子でふたりが食卓についたところで、今日のことを思い返した。