次期院長の強引なとろ甘求婚
触れるだけの口付けは、すぐに私の唇を離れていく。
顔を離した三角先生は、またすぐに触れてしまいような距離から私の顔を見つめた。
もう何が起こったのか頭の中はパニック状態で、でも、状況を把握し始めると頭に血が上っていく。
同時に鼓動が尋常じゃない音を立てていき、壊れそうなほど暴走を始めていた。
だけど、一切嫌だなんて思う自分はいなくて、むしろ羞恥心よりも甘いときめきが胸に広がっていく。
「未久……こっち向いて」
初めて〝さん〟を付けずに名前を呼んだ三角先生の片手が、私の背中を離れて頬へと触れてくる。
間違いなく赤面している顔をおずおずと上げると、私とは正反対に全く動じていない三角先生の綺麗な微笑が目にいっぱい広がった。
「来年も、その先も、ここに一緒に来てくれる?」
これから先の、未来の約束を取り付けるような言葉。
密かに素敵だと思っていたお客様だった三角先生に、こんなことを言ってもらえるなんて想像すらしなかった。
「はい……」
小さく頷き答えると、「良かった」とホッとしたような声が耳に届く。
また端整な顔が近付いて、私の唇にそっと重なり合った。