次期院長の強引なとろ甘求婚


 じっと逸らさず私の顔を見つめる女性は、栗色のショートボブを両耳にかけたヘアスタイルの、私より少し背の高いすらりとした人。

 ブルー系のストライプが入ったワンピース丈のシャツに、薄色のデニムを履いている。

 こっちを見つめる目はアイメイクがばっちりで、しっかり引いたアイラインのせいかきつい印象を受けた。


「どういう関係なのって訊いてるの」


 私たちの他に誰もいない小さな店内で、その女性の尖った声だけが聞こえている。

 どういう関係って……そう言われると、説明が難しい……。


「私は……なんでも……」


 気迫に負けてしまい、気付くと防衛反応からかそんな風に答えていた。


「それなら、もう彼に構わないで。私も迷惑なの」


 呆然とする私を気にもせず、その女性ははっきりきっぱりとそう言い放つ。

 鋭い視線を寄越したまま踵を返し、あっという間にお店を出ていった。

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