次期院長の強引なとろ甘求婚
「本当にひどいことする……信じられない。あ、怪我してないですか? 足とか」
花束を私へと差し出しながら、彼女は私のことも気に掛けてくれる。
「大丈夫です。ありがとうございます」
お礼を言いながら、彼女の恰好を見て、この病院のスタッフではなさそうだと思った。
膝丈の綺麗な紫色のフレアスカートに、変形スリーブの白いトップス。
サークル型のかごバッグを持っているという私服姿だ。
「あの……フラワーショップの、未久さん、ですよね?」
「え? あ、はい……」
「やっぱりそうだ! あ、私、鷹取沙帆といいます。三角樹の、妹なんです」
「……えっ、樹さんの、妹さん?!」
にこりと微笑み、こくりと頷く妹さん。
驚く私に「兄から、未久さんのことは伺っています!」と言ってくれる。
そういえば八ヶ岳に行った時、ちらりと妹さんがいるという話は聞いていた。
こんな可愛い妹がいるなんて……でも、よく見ると、何となく雰囲気は似ている感じがしなくもない。