次期院長の強引なとろ甘求婚


「本当にひどいことする……信じられない。あ、怪我してないですか? 足とか」


 花束を私へと差し出しながら、彼女は私のことも気に掛けてくれる。


「大丈夫です。ありがとうございます」


 お礼を言いながら、彼女の恰好を見て、この病院のスタッフではなさそうだと思った。

 膝丈の綺麗な紫色のフレアスカートに、変形スリーブの白いトップス。

 サークル型のかごバッグを持っているという私服姿だ。


「あの……フラワーショップの、未久さん、ですよね?」

「え? あ、はい……」

「やっぱりそうだ! あ、私、鷹取沙帆といいます。三角樹の、妹なんです」

「……えっ、樹さんの、妹さん?!」


 にこりと微笑み、こくりと頷く妹さん。

 驚く私に「兄から、未久さんのことは伺っています!」と言ってくれる。

 そういえば八ヶ岳に行った時、ちらりと妹さんがいるという話は聞いていた。

 こんな可愛い妹がいるなんて……でも、よく見ると、何となく雰囲気は似ている感じがしなくもない。

< 83 / 103 >

この作品をシェア

pagetop