次期院長の強引なとろ甘求婚
*side itsuki
大きな瞳が微かに揺れるのを目撃すると、鼓動が速まるのを感じる。
未久は俺の目をじっと見上げたまま、時間が止まってしまったように動かない。
その目には次第に涙が浮かび、キラキラと黒目を輝かせた。
「嬉しい、です……ありがとうございます」
こんなに数秒間が永遠の時間のように感じたのは初めてだった。
それほど、彼女の答えを受け取ることに緊張していたのだと思う。
目一杯に潤んだ瞳からは、ぽろぽろと大粒の涙がこぼれ落ちる。
ここが店内だということも忘れかけて、堪らず小さな彼女を抱き寄せていた。
お昼近く――待ちに待った知らせが受付から入って、診療の合間を見てわざわざ足を運んでくれた彼女に会いにいった。
その途中で沙帆にバッタリ会い、なぜか未久が持ってきた花束を抱えていた。
『お兄ちゃんの言ってた看護師が、未久さんを――』
沙帆には、花の自動販売機の話のあと、未久とのことを少し話していた。
俺が目をかけていること、好意を持っていること。
未久に対して熱心なところを知れば、特別な感情を持っていることは言わずとも察したのだと思う。