次期院長の強引なとろ甘求婚
*side miku
「未久……?」
初めて濃厚なキスをされて、慣れないことに呼吸が乱れてしまっていた。
顔を離した樹さんは、鼻の頭が触れ合いそうな近距離で私の目を見つめてくる。
照れる間もなくまたすぐに角度を変えて口付けられ、その甘い感覚に目眩を起こしかけた。
わずかに開いた唇の隙間から生温かい舌が入ってきて、私の彷徨う舌先へと触れ合う。
いつのまにか後頭部を支えていた大きな手にわずかに力がこもると、キスが深まり簡単に舌を搦め取られていた。
「ん、ふっ……」
不慣れなせいで、鼻から吐息が漏れていく。
官能をくすぐる口付けにとうとう立っているのもままならず、膝から力が抜けて崩れ落ちそうになった。
そんな状態の私の体は、樹さんによってしっかり支えられる。
腰を抱いていた手で自分へと引き寄せ、ぴたりと体が密着した。
息も乱れているけれど、めぐる血が沸騰しているのかと思うほど全身が熱い。
キスでこんなに体が熱くなってしまう経験は初めてで、熱い顔を隠すように樹さんへと自ら抱き付いていた。