次期院長の強引なとろ甘求婚
「可愛い……」
頭上から樹さんの呟くような声が降ってくる。
即座にぷるぷると首を横に振って「違います、慣れてなくて」と弁解すると、突然、樹さんは抱き締める両手で私を軽々持ち上げた。
「わっ!」
「そういうことは……」
ふわりと背中が柔らかく受け止められたと思ったら、顔の横で真っ赤なバラの花びらが宙を舞うのを目にする。
真上に樹さんの端整な顔が迫り息を呑んだ。
「慣れてなくていいんだよ」
口元に微かな笑みを載せて、樹さんはじっと私を見下ろす。
リップ音を響かせ軽く唇を合わせた。
「あ……せっかくの、ハートのバラが……」
気づくとベッドに横にさせられていて、思いっきりバラの上に着地してしまっている。
シーツに放り出した手でまさぐると、綺麗なバラの花びらが掴めた。
「ごめん、つい……」
「あ、いえ、違うんです。ちょっと、写真撮りたかったなって……」