次期院長の強引なとろ甘求婚
「写真?」
「はい。記念に、というか。もうこういうの、この先見られないかなって思って」
そう言ってみると、一瞬不思議そうな顔を見せていた樹さんは、優しい笑みを浮かべてみせる。
そして、ベッドに着かない空いている方の手で私の頬をそっと撫でた。
「それなら、また次の機会にすればいいよ」
「え……?」
「未久が望むなら、何度でもプレゼントするから」
胸がきゅんとすることをさらりと言ってくれる樹さんに、これからどれだけドキドキさせられるのだろうと幸せな心配をしてしまう。
迫る彼の体に両手を回し「ありがとうございます」と言うと、樹さんはシーツと私の背の間に手を入れて広いベッドの上に抱き起こしてくれた。
「あと、これもお願いしてたんだよね」
「……?」
ベッドからひとり下りていった樹さんは、向こうにあるソファセットのところまでいくと、ダークブラウンの薄くて大きな箱を手に戻ってくる。
中身を見せるように差し出したそこには、びっしりと綺麗にバラの花が詰められていた。
赤やオレンジ、黄色にピンク……。まるでスイーツの入っている箱のように見える。