ビタースウィートメモリー


翌日は、洗濯日和の晴天だった。

最近はいつも晴れているが、今日は湿気と暑さが両方パワーアップした、まさに夏日である。

ベランダいっぱいにバスタオルやキッチンマットを干し、悠莉は午前中いっぱいクローゼットとチェストの整理に勤しんだ。

そろそろ本格的な夏がやってくる。

チェストの中身は冬から春にかけての服だから、クローゼットの中の夏服と入れ替えなければならない。

もともとそんなに服を持っているほうではないため、悠莉の衣替えはだいたい10分もあれば終わる。

入れ替えたチェストを前にして、悠莉は今日何を着るか吟味した。

「バッティングセンターだもんな、動きやすさ第一だな」

一人暮らしの悲しい性か、ここ数年自宅にいると独り言が止まらない。

何分か迷い、白いオフショルダーのブラウスと、水色のデニムのショートパンツを選ぶ。

汗をかくことがわかっているから、化粧はしなかった。

日焼け止めを手足と顔に塗り、髪を適当なポニーテールにしたら、出掛ける準備は完了だ。

遅めの昼食を摂り、予定より早いが家を出る。

来月の出張に新幹線を使う予定だったので、新宿駅に着いたらまずはみどりの窓口だ。

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