ビタースウィートメモリー
それだけ熱く求められているのだから、避妊をちゃんとした上でなら応じても良いのでは?と友人達は口々に言い、悠莉はまるまる二ヶ月考えた。
避妊についての心配はしていなかった。
高校に入ってからずっと中用量ピルを服用していたのだ。
生理痛緩和とホルモンバランスを整えるためのピルだったが、避妊にももちろん効果的だ。
ゴムを併用すれば性病も予防出来るし、避妊率の高いセーフセックスが出来る。
堺が嫌いなわけではなかった悠莉は、なぜセックスに興味を持てないのかを知るためにも、思いきって処女を失くすことにした。
ホストファミリーが出掛けていない日に、堺に宛がわれた部屋で、悠莉は初めて制服の下の素肌を晒した。
首筋を這う舌に快感より気持ち悪さを感じ、まだ青く硬い乳房は力任せに揉まれると興奮より痛みが勝った。
胸を揉みしだく手を叩き落としたいのをこらえ、悠莉はじっと堪えた。
最初から気持ち良くなる人はいないと経験した友人達は口を揃えて言っていた。
どれだけ前戯に時間をかけても濡れない悠莉に堺はため息をつき、ローションを取り出した。
悠莉の足を開かせ雑にローションを塗り、堺は多少もたついたがきちんとゴムをつけた。
いざとなると少しだけ怖くなった悠莉は、きつく目を閉じた。
「ってちょっと待て。行為の最中ずっと我慢しっぱなしだったのか?」
「我慢してたな」
「話しだけ聞いてるとあいつヘタすぎるだろ。童貞ってのを抜きにしたってそれはない」
「アリかナシか判断つかないティーンエイジャーにそれはわかんないだろ」
揚げたてのから揚げをビールで流して、ジョッキを空にする。
呼び出しボタンを押そうと悠莉が手をのばすと、先に大地が押した。
「〆のラーメン行く前にもうちょっと食いたいんだけどどう?」
「ステーキがいい」
「あと枝豆おかわりだな」
やはり気が合うな、と悠莉は顔を綻ばせた。