初めて恋した旦那様。
結婚

聖羅side


「ん、んん。」

朝。
鳥のさえずりと眩しすぎるくらいの日差しで目を覚ます。


朝5時起きは15年間毎日。
辛いと思ったことは一度もない。


「聖羅ちゃ〜ん。朝ごはんできてるわよ〜。」

「はーい!すぐ降ります〜!」


わたしが住んでいる蔵山村は人口が800人ほどの小さな村だ。
前に聞かされたんだけど蔵山村は日本人でも知らない人がほとんどらしい。


つまりど田舎。ということだ。


朝早くから農作業をして、取れた作物で生活するのがこの村の基本だ。


小学校と中学校は同じ建物で、高校は2時間かけて行かないといけなかった。
そしてわたしは高校卒業後も就職せずにこの村で暮らしている。


不便なところは多々あるけど
わたしはこの村が大好きだ。


わたしには小さい頃の記憶がない。


15年前、この高岡家に拾われて
わたしはここで生活をさせてもらっている。


でもたった一言だけ
顔も思い出せない母からの言葉を覚えている。


「あなたはいつか王子様と結婚するのよ。」
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