月と太陽
~咲月side~
あの後、私は全速力で自転車をこぎホームルーム5分前に着いた。
運動なんてめったにしないから、苦しすぎる...。
足早に席につくと、振り向く前の席の人。
たしか、名前は米沢鈴羽(Yonezawa Suzuha)だっけ?
茶髪のボブヘアで薄く化粧をしてるその子はとても元気で可愛らしい子。
転入当初から私に積極的に、それはまぁ積極的に話しかけてくる。
私は応えないのに。
今日も
「おはよぉー!咲月ちゃん!!」
無視して支度をする私。
そんな感じだから、私に話しかけてくるクラスメイトはこの米沢さんぐらい。
この人はどうしてこりないんだろう。
「ねー、今日遅かったねぇ。なんかあったの??」
こうやってずっと話すから唯一名前のわかるクラスメイトになった。
「もしかして、事故にあったとか?!え、ケガしてない?!」
身を乗り出して勢いよく聞くから、目が必然的に合う。
すると、
「ふふっ、やっと目、合ったね。」
「は、」
「ずっとこっち見ようとしないんだもん。そろそろメンタル来るとこだったよ!」
口をとがらせて怒ったように言う米沢さん。
私だってしたくないよ。無視なんてさ。
「えと、ごめん?」