COLOR
BLUE 失望
自覚したら冬華に会いたくなって
会ってちゃんと謝って、出来ればもう一度……
許してもらえるまで何度だって
居ても立ってもいられなくて、翌日には大学に入ってから独り暮らしをしていた冬華の部屋へ向かった
久しぶりに使った駅
忘れたことなんて無かった
いつも、一緒に寄ったコンビニで冬華の好きなプリンを買って
店員はみんな変わっていた事に2年の月日を感じた
何となく寂しくなって急いで向かった部屋の前
書道家のお兄ちゃんに書いてもらった立派な表札も
一緒に2人乗りで帰った真っ白な自転車も
初めてのデートで買った鉢植えも
何もかも消えて無くなっていた
「ふゆか?」
情けない声が耳に響いた
ふと見上げた先には冬華じゃない名前
もしかして、結婚して名前が変わったのか?なんて思ったけど
いつも野菜をくれた大屋さんは冬華の部屋の真下だったのを思い出して
慌てて階段を降りて、出てきた大屋さんは少しだけ歳をとっていた
「あ、あんた冬ちゃんの」
「冬華は?」
「二年前に出ていったよ、あんたと一緒じゃなかったのかい?」
「いえ、どこに引っ越したかわかりますか?」
「いや、あのあと一度挨拶に来てくれたけどそれからは知らないね」
「そうですか、ありがとうございます」
俺は頭を下げて走った