COLOR
慌てて向かったのは冬華の実家
何度も行ったことがあった
優しい両親とシスコンのお兄さん
暖かい家族だった
実家の前で暫くは立ち往生
今更、俺が行って大丈夫だろうか?
俺達が別れた事は知ってるはずだ
「あれ?夏月くん?」
振り返った先には冬華と良く似た笑顔のお兄さんがいた
その笑顔に泣きそうになるのを堪えた
「どうした?うちに用事?」
「あ、あの…………冬華は?」
「………それ、聞いてどうすんの?」
さっきまで笑顔だったお兄さんの表情が変わった
そうだ、俺は酷い男だ
大事な妹を傷付けた男だ
「何で今更冬華に会いに来たのかは知らない
でも、冬華を動揺させるだけなら会わないでやって
夏月くんと別れてから何人かと付き合ったみたいだけど………
君たちが別れた理由は知らないけど別れた時はそれなりに落ち込んでたからね
やっと、今は弁護士になるために必死でやってるし
もう、来ないでやって」
「あの!俺!」
「ごめんな、俺は何も言えないよ」
お兄さんの辛そうな顔に
その時初めて、俺は自分の失態に気付いた
大事な物は失ってから初めて気付くなんてよく言ったものだ
ほんと、そうだ
俺は大バカだ
それに2年も掛かってしまった
そして、大事な人を本当に失ってしまったんだ