嘘と心と愛してる。
「名前は?」
「俺はヒロ、こっちはジュン。そっちは?」
「私は美波、友達は玲華だよ。何歳なの?」
「今は二十四歳、今年で二十五歳になる。いくつ?」
意外にもナンパをしてきたヒロくんよりもジュンくんの方が話してくれる。
「二十歳。じゃあ、社会人?」
「看護師だよ。学生?」
「そうそう。ジュンくんお肌綺麗だね。お化粧してるの?」
男の人にこういうことを聞いても良いのか少し迷ったが、会話の糸口を見つけるためにも話しをしてみる。
「うん。よくわかったね。ファンデーションと眉毛、あとアイシャドウかな。」
玲華にアイコンタクトを送ってみるけども全く話に入ってきてはくれず、短気な私はお酒の力もあってかジュンくんの頬に両手を添えて顔を近づけた。いやらしくない程度に。
「綺麗にお化粧してるね。ピアスはフェイク?」
「そうだよ。穴を開けたくなくて。痛いの苦手なんだ。」
「そうなんだ。意外。ジュンくんって自分から行かなくても女の子寄って来るでしょ?」
「うん。凄く触られるから嫌だ。そもそも顔に興味なかったら、性格も知りたいと思わない。」
さすがはかっこいいだけあって、言葉が辛辣ではある。
さっき頬に触れたのが少し申し訳なく感じた。
かっこいいと困ることもあるんだとかなんとか考えているうちに、いつのまにかバーカウンターには3人分のテキーラが並んでいた。