時間を越えて

「先輩。私、先輩と同じ高校に行きたくて、でも無理かなって思った。」

「それでも、どうしても、この高校に入学したかった。先輩がいるから。」

「先輩、私はまた先輩の後輩にはなります。」
「でも、そういう関係ではなく。……私と付き合って、くれませんか?」


たぶん、恥ずかしさで顔は赤いと思う。

照れ隠し?
いえ、先輩を直視できずに、またうつむいてしまっているだけ。


「うん、よく頑張ったな。おめでとう。合格、おめでとう。」

「そして、中学か、まだ若かったのかなー。俺も言えなかったし。」


え?それって、どういう意味?先輩。


「よろしく!俺の彼女さん!」


えっ!?

びっくりして、思わず一気に顔をあげた。

先輩は、微笑んでいる。


「せん、ぱ、い……。」

「また、何を目赤くしてるんだよ。うれし泣きか?」

「だって、だって。」

「合格したのが嬉しくて?」

「それも、あるけれど……だってだって。」


そう、言い切るが早いか、先輩は優しく頭を撫で、私を包み込んでくれた。


そう、
3年と少し前を越えた頃。


新しい道を2つ同時にスタートさせた日。

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