その時、オレンジジュースの香りがした。
まず、ごめんなさい。何から謝ればいいか。
私はあなたに嫉妬していました。きっともう、気付いてるよね。
キラキラ輝く、夕香のみる景色に嫉妬してたんだよ。私は、私には、そんなのなかったから。
夕香みたいな、太陽に似た笑顔がなかったから悔しかったの。
それで、半分ヤケクソで書いたのが昨日渡した小説だった。
でもね、気付いてたかな。
私が書いた物語の舞台は、いつも夕香だった。
例え私の小説が評価されたとしても、本当は私じゃない。夕香なんだって。自覚があったからこそ悔しかった。勝ちたいと思ったんだ、夕香に。”
そこで、1枚目は終わっていた。
全て嘘だらけだと疑う自分もいたし、那央の告白を扉を開けて受け入れている自分もいた。
どうして那央は、こんなことを書いて遺そうとしたのだろう。
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