その時、オレンジジュースの香りがした。
中宮那央
黄色いライトが、目の前にあった。
ああ、もう生きられないんだ。直感的にそう思った。
もう二度と夕香に会えないのなら。
ずっと言えなかったあの言葉を伝えておけばよかったな。
…でも。
私が伝えた言葉の数々、
彼女に贈った行動の全て、
私が残した言葉の全部。
伝わるかな。
伝わるといいな。
言いたくて言えなかった最後の言葉が。
今まで、本当にありがとう。
ずっとずっと、
大好きでした。
その時、そっと風が吹いて、