女王陛下のお婿さま
アルベルティーナは背筋がゾッとした。それは体調不良のせいではない。ルイの周到な計画が恐ろしかった。
だが、震える体にグッと力を入れてルイを睨み付ける。
「私を殺しても……この国の王位は手に入らないわ……!」
「……そうですね。ですから、貴方の口から確約が欲しいのです」
「そんな事……!」
そんな確約なんてするわけがない。アルベルティーナがそう言おうとした瞬間、隣の大広間からまた悲鳴が上がった。
「……おや、また隣で何かあったようですよ」
ルイは大広間の様子を見る様に立ち上がり、クルリと長椅子の彼女へ向かい合う。そして腰に挿していた剣を抜いた。やはり彼の剣も飾太刀ではなく、真剣だったのだ。
切っ先をアルベルティーナへ向けると、剣はギラリと冷たく光を反射させた。
「ご存知ですよね? 隣の大広間には貴方のご両親とナバルレテのファビオ王子、それに、大勢の招待客がいる事を……その方たちを、一人ずつ殺していっても良いのですよ?」