女王陛下のお婿さま
「もうお止めください、ヨハン王子。ヘーメルとの併合を破棄する事は考えていません。今後はもっと親密に情報を交換し、より良い関係になれると私は思っていますから」
「ありがとうございます……!」
このヨハン王子なら、もうヘーメル国は大丈夫だ。アルベルティーナはそう確信していた。
「……これから、ルイ王子はどうなるのですか?」
「父と話し合いをしてからですが……ヘーメルの片田舎に、王家の小さな離宮があります。そこへ幽閉される事になるでしょう……」
「そうですか……残念です…………」
毒を盛られたりと酷い事もされたが、ルイのこれからを思うと、アルベルティーナは胸が痛んだ。もう彼が自由になれる事は無いだろうから……
「……アルベルティーナ様は、お優しいですね。これからそんなお優しい女王陛下が治める国の民になれる事を、誇りに思います」
急に誉められ恥ずかしくなり、アルベルティーナは頬が赤くなってしまった。
「――――おお! そうだ、ティナ! これを期に、ヨハン王子と結婚を前提にお付き合いしてみたらどうだ?」
突然、ずっと静観していたクリストフが、嬉しそうにそんな提案を口にする。