女王陛下のお婿さま

 クラウスとの結婚を決めたアルベルティーナは、当然、ファビオとの結婚を断らなくてはいけなかった。準備もだいぶ進んでしまっている。ファビオに、怒られてもなじられても仕方がないとアルベルティーナは覚悟を決めていた。

 だが……


『――――なんだ、やっとか』


 返ってきたのは、呆れたようなホッとしたような、そんな返事だった。

 ファビオは、全部分かっていたのだ。アルベルティーナとクラウスが、お互いをどう想い合っていたのかを。始めこそファビオはクラウスに、アルベルティーナとの事を協力しろ、などと言っていたが、すぐに気が付いてしまった。

 そして何とか二人を良い方向へ進めるように、仕向けていたのだった。

 当の二人は全く気付いていなかったが……

 そんな状態だったので、結婚の準備もファビオは全くしておらず。自国ナバルレテへ結婚報告の使いを出したと言っていたが、それも嘘だった。

 アルベルティーナも、今回のような婚約式はファビオとはしていなかったので、ハレルヤの国民には結婚の事は公にはなっていなかった。

 だから、特に大きな問題にはならなくて済んだのだった。
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