女王陛下のお婿さま


「アルベルティーナ、お前は『諦めない達人』になる事を選んだんだな」

「……はい。一番大切な事は諦めちゃいけないって、諦めの達人さんが教えてくれましたから……ありがとうございました!」


 アルベルティーナはクラウスを見つめ、またファビオと視線を合わし微笑んだ。


「ああ、感謝の言葉は腐る程聞いた、もう止めてくれ。そんな事より……二人を見てたら俺も結婚したくなった。だから、可愛い姫でも紹介してくれると嬉しいんだが」


 ファビオがそんな軽口を口にしたのと同時に、彼を呼ぶ大きな声が聞こえた。


「――――ああっ! ファビオ王子様! こんな所にいたんですね!」


 声の主は、マイラだ。マイラは凄い速さで走り寄ると、がっちりとファビオの腕を捕まえた。


「マイラ……?! 何でお前が俺を探してるんだ」

「貴方の従者に頼まれて探していたんです! 少し目を離すとすぐに姿を眩ますって、ほとほと困っておられましたよ! 私が見つけたからには、もう逃がしません!」

「俺は別に逃げてはいないが……」

「問答無用です! さあ、大広間へ戻りますよ! アルベルティーナ様、クラウス様、そういう訳ですので失礼いたします!」

「ちょ、ちょっと待てマイラ! 俺は……!」

「問答無用と言ったはずです!」


 口を挟む暇もなく、マイラはそう言うとファビオの腕をグイグイ引きながら、大広間の方へ去って行った。
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