女王陛下のお婿さま
何だか……避けられているような気がして……
ファビオにそう聞かずにはいられなかった。
「ああ、元気だろうよ。数日前からちょっと使いに出してるから、俺も会ってはいないが」
使いに……
その言葉に、避けられているわけでは無いのが分かり、ホッとした。そもそも城に居なかったのだから。
「使いって……何処へ出したのですか?」
アルベルティーナの問いかけに、何故かファビオは悪戯な笑みを浮かべた。
「……秘密。まあ、そんなに遠くじゃないから、舞踏会当日には戻って来るはずだ」
結局、クラウスが何処へ行ったのかは分からなかった。
「クラウスが、心配か?」
「……いえ、大丈夫です」
心配なのではない。では、この胸の痛みは何だろう……不安? 悲しみ? それとも……
さっきのルイの言葉を思い出す。
『――――僕には孤独や寂しさ、辛さ……貴方が感じているそんな気持ちがよく分かるんです』
自分でも分からないようなこんな気持ちも、ルイは分かってくれるのだろうか。
考え込んでしまったアルベルティーナ。その頭を、ファビオは大きな手でポンポンと優しく叩いた。
「――――じゃあ俺は、そろそろ自分の部屋に戻るかな」
「あ、待って下さい! ……もう一つだけ、聞きたいのですが」