女王陛下のお婿さま
「――――我らは、ハレルヤ王国との併合に反対する、ルイ王子に賛同した者たちだ! 我らの声に耳を傾けない横暴な国王によって、調印が済んでしまった今、もはやヘーメル国が存続するにはハレルヤ王国の国王を退かせ、ルイ王子を国王に即位させるしかない!」
男はそこまで言うと、持っていた剣を高く掲げた。
「我々はルイ王子を国王にすべく、ここに革命を宣言する!」
男の声に共鳴するかのように、他の兵士たちも声を上げる。興奮した数名の者が、花が生けられていた大きな花瓶を剣で叩き割り、それに怯えた女性たちがまた叫び震えた。
さっきまで華やかで皆が楽しんでいた大広間は、今は緊張に包まれていた……
――――そんな大広間の様子を、隣の部屋で聞いていたアルベルティーナ。身体はまだ、思う様に動かない。それどころかどんどん悪くなっているような気がする。
それでも力を振り絞って半身を持ち上げた。
「……貴方は、初めからこれが目的で…………」
長椅子の背もたれの方にいるルイを睨みつけながら、苦しい息の下アルベルティーナは言った。しかしルイは、そんな彼女の言葉に妖精のような微笑みを返した。