絆 ~私は必要ですか?~ 【完】
☆禅side☆

店を出ていった 三浦さんをすぐに追いかけるべく店を出ようとした。

………が、俺の腕が引っ張られ、店を出ることができなかった。

「禅さん どこ行くんですか?
せっかく来たんだから、座りましょ。」

………忘れてた………玉井さんがいたんだった。

「玉井さん。申し訳ないが、急用ができたので失礼させてもらいます。」
断りをいれ、三浦さんを追いかけようとしたが、

「禅さん。
今来たばかりなのに 帰るなんてひどいです。
帰るというなら、禅さんのお父様に連絡させていただきます。」

いちいち親に言いつけるって子供か?!

俺はため息をつき席についた。

彼女は玉井由衣香(たまい ゆいか)さん。
玉井産業社長の娘さんだ。玉井産業の社長は俺の親父の友人で、両親は付き合いはあるようだが、俺は会えば挨拶をする位しか付き合いはない。

今日 急に呼び出され、行ってみれば彼女たち 玉井さん親子との食事会だった。
親たちは 見合いのつもりで集まったみたいだったが、俺からしたら何も聞かされてないから、騙されたようなもので不愉快のなにものでもない。

親たちには、その場で断った。
はっきり「心に決めた人がいる。」と………

なのに 食事後 無理矢理 二人で飲みに行かされたあげく、入った店で三浦さんに会ってしまい、今 完全に誤解されている状態だ。

なれなれしく 何度も腕を絡めてくるから いいかげん断るのが面倒でそのままにしていたのが悪かった。
こんなことなら 何度でも拒否しておくんだった。

とりあえずこの場を早々に切り上げるために 気合いを入れ直した。
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