絆 ~私は必要ですか?~ 【完】
「禅さん 何にしますか?」

さっきから、なぜか名前で呼ばれているが、あまり気分がいいもんじゃない。

「玉井さん。申し訳ないがビールを一杯いただいたら失礼します。
僕は先ほど食事の席で はっきりと申し上げたとおり、心に決めた人がいます。
その人以外の人と二人きりで過ごす事は避けたいことなんです。」
俺は はっきりと伝えたが、

「そんな事 私は気にしません。
私が禅さんを好きだから、それで良いじゃないですか?」

この女は頭 おかしいのか?
自分が良ければ、俺の気持ちはどうでも良いのか?
なんて自分勝手な女なんだ!
あきれてものが言えないでいると

「今回のことは、親同士で決めた事です。
私達に拒否はできません。
私と結婚すれば、社長になるための役に立つと思いますよ。」

満面な笑顔でこっちを見ている この女、俺が実力で社長になれないって言ってるよな。
なめられたもんだ。

カチン💢ときたが、怒りを隠し 冷静に
「僕は出世のための結婚をする気はありません。
そんな結婚をしなければ社長になれないのであれば、社長にならなくてもいいですし、会社も辞めても良いと思っています。
この事は親も承知しています。
ですので、あなたとの結婚はありえません。」
解ってくれると良いが………

それより早く 三浦さんに会って誤解を解きたい。
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