絆 ~私は必要ですか?~ 【完】
禅さんの言うとおりだ。私達には会話がなかった。
今の時代、面と向かって話をするだけが会話じゃない。携帯もある。メッセージを送る事も出来た。なのにそれすらしなかったんだ。

「そんなのお互い様だと思う。」

「俺は27年前と同じ事をして、また柚希を守れず傷つけた。つぐなってもつぐないきれない。本当に悪かった。」

私は黙って首を左右に振る。
間宮さんに何を言われても、何をされても 禅さんを信じてれば良かったし、聞けば良かったのに疑ってしまったのは私だ。

「一華から聞いた。一生懸命 俺と話をしようとしてたって。俺は間宮の言葉を真に受けて、柚希に別れを言われるのが嫌で仕事に逃げたんだ。
俺は出会った頃から変わらず柚希を愛してる。だから怖かった。」

勝手に誤解して家を出てきた私を責めることなく愛してると言ってくれる事がすごく嬉しかった。私だって変わらず愛してる。
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