君に届けばいいのに、なんてね。

「有希、何なのこの点数は!」
予想通りの言葉、もう慣れっこ。逆によく毎回毎回同じ言葉を同じ表情で言い続けられると思う。気力、体力、使うなぁ。お疲れ様です。
「ちょっと有希、聞いてるの!?」
私は機械的に口を動かす。駅で考えてた文句。
「ごめんなさい、時間配分を間違えました
あと予習復習が甘かったので今度から気をつけます」我ながらぎこちない文句だ。何故敬語?うまく抑揚はついているだろうか。
「今度から今度からって、いつも言ってるじゃない!大体今回は悪いと思ってたのよ、親はこんなに一生懸命あなたのためにやってあげてるのに!もうちょっと自覚を持って......」
「あ、課題終わらせなきゃ」
待ちなさい有希、というお母さんの怒鳴り声を無視して階段を駆け上がり、自分の部屋のドアをバタンと閉めた。ついでに鍵もかけてやった。
「うっるさいなぁ」
勉強できないから悪い子、言う事聞かないから悪い子、期待できないから悪い子。結局私は悪い子なんだ。何が悪いんだろう。良い子と何が違うんだろう。......全部、か。私は不良品、なのか。
ーーそれなら。
私は宙を睨んだ。
ーーそれなら、お望み通りに。
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