君に届けばいいのに、なんてね。
その日から、私は変わった。ドラマとかで人格が劇的に変わるヤツ、あれホントにあるんだな。わき目もふらず勉強した、そりゃもう親が大喜びするぐらいに。『有希には期待してるからね』とか言われた。ふざけてるんだろうか。反吐が出るとかいったらまた面倒だから、微笑んで「うん」とだけ答えた。機械的な笑顔。気持ち悪いぐらいの完璧スマイル。我ながらすごいと思う。自分の部屋を見回す。文庫本とか小説とか漫画とかが並んでいた本棚には参考書がびっしり。まだ中二で早いかとも思ったけど、赤本もある。机の上に散らばっていたプリント類もきちんと整理され、色分けされた分厚いファイルに収まっている。壁に二、三枚貼ってあった好きなアニメのポスター......これらはさすがに名残惜しかったけど全て剥がした。カーテンは薄桃色からブラウンに。ベッドのシーツも、布団カバーもブラウンに変えた。テレビの某番組で紹介されてもいいような変わり様だ。何この可愛げのない部屋。
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