初恋 ~頑張る女子と俺様上司の攻防戦~
「結婚する気はないんです。再婚して苦労する母を見てきましたから。仕事をして、自立したいと思っています」
「龍之介のことは?」
「今のままの関係が続けばそれが一番いいと思っていました。でも、玲奈がいる以上いつか終わる関係なのも分かっていました」
「それで、どうする?」
「別れるしかないじゃないですか」
他に方法はない。

ちょうど車が駅のロータリーに到着した。
「じゃあ、気をつけて帰れよ」
「はい」

「なあ、三代」
チーフに呼ばれ、私はもう一度車を振り返った。
「俺も偉そうなこと言えるだけ恋愛経験豊富でもないし、お前がどんな恋愛してきたかも知らないけれど、好きになってしまったらそんなに簡単には割り切れないぞ。もうここでおしまいって思えるような相手ならそれだけの相手だったてことだ」
「はあ」
そんなもんですかねえ。
私も初めてなんで分かりませんが。
「もし、忘れられなくて苦しむくらいなら、思い切って向かってみろ。龍之介はいい奴だ。俺が保証する」
「チーフ」
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