初恋 ~頑張る女子と俺様上司の攻防戦~
虹子と、侍女のゆりあさんと、私。
同い年3人の宴。
ビールやチューハイから始まってウイスキーや日本酒までほとんどのお酒に手を出した。
こんなに飲んだことはバイトの時でさえないくらい。

親友である虹子とは幼稚園から大学までをともに過ごした。
いつも一緒だった。
その関係は変わらないと思っていたのに・・・
1年半ほど前、私達が大学4年になったときにすべてが変わってしまった。
突然、虹子に許嫁が現れたから。
それも、日本を代表する名家、高宮家。
その一人息子がお相手。
昨日まで一緒に遊んでいた親友は、大金持ちの許嫁として宮家に迎えられた。
それからは、過熱する報道と、ゴシップ記事の嵐。
見ているこっちが苦しくなるほど、虹子は世間の目にさらされた。
そして、紆余曲折あって・・・2年の予定でイギリス留学。
許嫁である哲翔さんと別れての生活に、きっと不満もあるだろうに、明るく楽しそうに振る舞う姿には感心してしまう。
高宮家の侍女で、哲翔さんの乳兄弟でもあるゆりあさんがイギリスへ同行している。

「未来さん、お酒強いんですね」
ゆりあさんが私を見る。
「ずっとクラブでバイトしてましたから」
へーと、少し驚いた顔をされた。
「彼はそのことご存じですか?」
「ええ、反対ではあるみたいですけれど、知っています」

別れるって言いながら、彼って言われて否定もせずに龍之介の話をしてしまう私。
まだまだ、気持ちの整理がついてない証拠。
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