初恋 ~頑張る女子と俺様上司の攻防戦~
「未来」
地の底から響く低音。
これは龍之介が怒っている時の声。

「どうして?」
ここのことは誰にも言っていないのに。
「僕が知らせたんだよ」
ええ、哲翔さん?
え、えっと・・・なぜ、今ここに?
2日酔いの私の頭は、完全にキャパオーバー。


突然現れた2人の話を総合すると、哲翔さんのお父様と龍之介のお父様は政治家仲間。普段からのおつきあいもあり、子供同士も見知った仲だった。
「龍之介さんには小さい頃からかわいがってもらったんだ。さすがに家出した彼女を探している、相手は虹子の友達だって言われたときは絶句したけれどね」
「ふーん」
「ごめん未来、黙っていて。哲翔達が来るまで引き留めておくようにって頼まれたのよ」
結局、虹子もグルだった。

「未来、着替えてきて。話がある」
龍之介の固い声。
イヤだ、怖いなあ。
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