初恋 ~頑張る女子と俺様上司の攻防戦~
30分後の警察署。

「すみません、お電話いただいた御影です」
龍之介が車を止めているため、先に入った私が受付で声をかけると、奥の部屋へと案内された。

「未来ちゃん」
立ち上がりうれしそうに手を振って見せる樹里ちゃん。
マイペースというか何というか、動じない樹里ちゃんにはいつもながら感心してしまう。

「えっと、お姉さんですか?」
不思議そうな警察官。
「いえ」
母ですとはすんなり出てこなかった。

その時、
「すみません、御影樹里の父です」
と、龍之介が現れた。

「パパ」
顔を見るなり気まずそうにした樹里ちゃん。

硬い表情のまま樹里ちゃんに近づいた龍之介は、
「何やってるんだ。.イギリスに行ったはずだろう。なぜここにいる?」
静かにたずねた。

「帰ってきたのよ。途中でお財布をなくしてしまって、交番に駆け込んだら親を呼ぶって言われて。日本の警察って、おかしいんじゃない?」
いや、樹里ちゃん。
それは、言い過ぎ。
「ふざけるな」
冷たく言う龍之介は、すごく怖い顔。
まずいなあ・・・

それ以上話もせずに引き取りの手続きをする龍之介と、不満そうにしている樹里ちゃんを見ながら、私はとても不安になっていた。
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