初恋 ~頑張る女子と俺様上司の攻防戦~
「未来ちゃん、ごめんね」
え?
店を出た途端に、目に涙をためた樹里ちゃんが謝ってくれた。
「樹里のせいで未来ちゃんが叱られて、ごめんなさい」
「樹里ちゃん」

やっぱり樹里ちゃんはいい子なのよね。
気が強すぎてわがままに見えるけれど、ちゃんとごめんなさいは言えるんだから。

「もういいよ。ちゃんと謝ったんだから。で、どうする?マンションに帰る?」
「やめとく。おばあちゃん家に帰る」
「そう。送ろうか?」
「いいよ」
「じゃあ、連絡しておくから。着いたらメールちょうだいね」
「うん」
「それと、パパに謝りなさい。樹里ちゃんのことを心配して怒ってくれるのはパパだからだよ」
「うん・・・わかってる」

じゃあねと手を振って、樹里ちゃんと駅で別れた。


お母様に電話をし今回の経緯を説明すると、
「もう樹里ちゃんったら」
と、いつものことだって様子。
こういう所がいけないと思うんだけれど。
すぐには無理よね。
長いこと、樹里ちゃんのことはお母様に任せっきりだったんだから。


ブー ブー ブー。

ポケットの中で携帯が震えた。
そういえば、何度か着信があったんだ。
気づいてはいても、出られなかったから。
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