神在(いず)る大陸の物語【月闇の戦記】<邂逅の書>
発光する光の激しさに、シルバの後方にいたレダが、思わず片腕で己の顔をかばう。
「あっ・・・!?」
膨張する輝きの中で、藍に輝くレダの黒髪が虚空に乱舞した。
そんな彼女の様子が手に取るようにわかるシルバは、ちらりとだけそちらに視線をやると、アノストラールを封じていた氷の柱からジェン・ドラグナを一気に引き抜いたのだった。
とたん、ミシミシと鈍い音を立て、眼前の氷柱に無数の亀裂が走ったのである。
その次の瞬間、縦横無尽に虚空を舞う銀色の光と共に、アノストラールの自由を奪っていた凍てついた氷の柱が、白い闇に曇る嘆きの空間へと、轟音を上げて千々に砕け散ったのだった。
きらきらと輝きながら封印の凍てついた破片が弾け、まるで銀色の雨が降るように、細い帯を引きながら閃光と共にその場に降り注いでいく。
嘆きの精霊がすすり泣く白い闇に、煌びやかに輝くアノストラールの銀色の長い髪が乱舞した。
澄んだ紫色の鋭利な視線の先で、白銀の守り手の持つ黒い瞳に、金色の縦長な虹彩が現れる。
刹那、厳(いかめ)しく険しく歪んだ美貌の顔が、不意に、シルバに向くと、何ゆえか、胸元でかざされたその掌(てのひら)に、雷光の閃きを思わせるような銀色の光球が、激しい閃光を伴って急速に現れたのだった。
何かに気が付いて、シルバは後方にいるレダに叫んだ。
「レダ!逃げろ!早く!!」
「!?」
シルバのその言葉に、危険を察知したレダが、地面に横たわるあの幼い少女を抱えて、転がり込むように後方の地面へとそのしなやかな肢体を翻した。
嘆きの精霊に満たされた白い闇を揺るがし、アノストラールの掌に浮かんだ銀色の光球が、シルバを目掛けて、虚空に鋭利な帯を引き激しく発光しながら、凄まじい殺気を持って豪速で解き放たれたのである。
空間を引き裂くようにまかり来る、強力な力を持った銀竜の魔法。
それが、触れた者を全て滅する力を持つ魔力の塊であることを、シルバはよく知っていた。
「あっ・・・!?」
膨張する輝きの中で、藍に輝くレダの黒髪が虚空に乱舞した。
そんな彼女の様子が手に取るようにわかるシルバは、ちらりとだけそちらに視線をやると、アノストラールを封じていた氷の柱からジェン・ドラグナを一気に引き抜いたのだった。
とたん、ミシミシと鈍い音を立て、眼前の氷柱に無数の亀裂が走ったのである。
その次の瞬間、縦横無尽に虚空を舞う銀色の光と共に、アノストラールの自由を奪っていた凍てついた氷の柱が、白い闇に曇る嘆きの空間へと、轟音を上げて千々に砕け散ったのだった。
きらきらと輝きながら封印の凍てついた破片が弾け、まるで銀色の雨が降るように、細い帯を引きながら閃光と共にその場に降り注いでいく。
嘆きの精霊がすすり泣く白い闇に、煌びやかに輝くアノストラールの銀色の長い髪が乱舞した。
澄んだ紫色の鋭利な視線の先で、白銀の守り手の持つ黒い瞳に、金色の縦長な虹彩が現れる。
刹那、厳(いかめ)しく険しく歪んだ美貌の顔が、不意に、シルバに向くと、何ゆえか、胸元でかざされたその掌(てのひら)に、雷光の閃きを思わせるような銀色の光球が、激しい閃光を伴って急速に現れたのだった。
何かに気が付いて、シルバは後方にいるレダに叫んだ。
「レダ!逃げろ!早く!!」
「!?」
シルバのその言葉に、危険を察知したレダが、地面に横たわるあの幼い少女を抱えて、転がり込むように後方の地面へとそのしなやかな肢体を翻した。
嘆きの精霊に満たされた白い闇を揺るがし、アノストラールの掌に浮かんだ銀色の光球が、シルバを目掛けて、虚空に鋭利な帯を引き激しく発光しながら、凄まじい殺気を持って豪速で解き放たれたのである。
空間を引き裂くようにまかり来る、強力な力を持った銀竜の魔法。
それが、触れた者を全て滅する力を持つ魔力の塊であることを、シルバはよく知っていた。