最悪で最高の復讐劇
この中学校に転校して来てからもうすぐで一週間が経つ。そんなある日、涼也は別の子にいじめられ始めた。
私は、日に日に酷くなっていくいじめを黙って見ていたが、ついに涼也の前に立った。
別に私が助けたい訳では無い。涼也が自ら命を絶とうと私の知ったことではない。
しかし、今は涼也に死なれては困る。私の獲物だ。こいつに死なれたなら、未来の復讐が果たせない。
「……いじめなんて最低でクズな人間にしか出来ないんだよ」
私は、そう吐き捨てる。すると、涼也をいじめていたいじめっ子は私に恐怖の目を向ける。
……やはり、人間ってクズだな。
私はそう言いたいのを堪えて、涼也に優しい笑みを浮かべた。そして、涼也を保健室へ連れ出す。傷の手当てをしてあげるためだ。
「…ねぇ、どうして俺を助けてくれたの?」
保健室へ入り、保健室にいる先生の手当てを受けていた涼也は、私に質問を投げかけてくる。
「……私も昔、いじめられていたから…だから、いじめられている人を放っておけなくてさ」
嘘を吐いて微笑む。こうしておけば、彼なら私に惚れてくれるだろう。
彼は、案の定顔を赤くして私を見つめた。
「……そうだ。これをあげる」
私は涼也に未来が入っているキーホルダーを渡した。
「これ、私の手作りなんだけど…誰にもあげれなくて…良かったらって。要らない?要らないなら、良いんだけど」
「いや、もらうよ。美愛ちゃんの手作り?とても上手いし、可愛いね」
涼也は、私のキーホルダーを受け取る。私は「あ、ありがとう…じゃあ、私は用事があるから…」と急ぐふりをして校舎を飛び出した。