お前がいる場所が、好き。Ⅰ
プロローグ

彼と出会った場所は、塾。


わたしは、始めて行く時に、塾の中に入ろうとした途端、同じようにドアを開けようとした彼と手がぶつかってしまった。



「ご、ごめんなさい!」



わたしが慌てて頭を下げて謝ると、



「あ、ああ……」



彼は何事もなかったようにドアを開けた。
許していないんだ、と思ったけれど、



「どうしたんだ? 入れよ」



という声がしたので見ると、彼はドアを開けたままにして、わたしを待っていてくれた。



「は、はい!」



どう見ても同い年にしか見えない彼に言われ、思わずわたしはいい返事をして入った。


かなりの無愛想だと思っていたけれど、優しい人なのか。


わたしはそう思いながら、塾の中へと入ったのだ。




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