お前がいる場所が、好き。Ⅰ

わたしが、学校に着くと、美咲がお下げの髪を揺らしながら走ってきた。



「沙織、おはよ!」



「おはよう、美咲」



今日も美咲は、二重まぶたの目がぱっちりしていて、焦げ茶色の髪はお下げにしている。そんな可愛い美咲は、女子のわたしまで見惚れてしまうほどで、男子からも意外と人気がある。


もちろん、美咲だけが男子に人気というわけではない。別のクラスに栗原(くりはら)さんという、綺麗な人がいると聞いたけれど、わたしは見たことはあるけど、話したことは、ない。彼女と美咲がどちらの方が人気なのかも、わたしには分からないのである。



「昨日は塾の時間、教えてくれてありがとね!」



「いいの、いいの! それより、英語の宿題って、プリント1枚だけでいいんだっけ?」



今日は、英語の授業がある。1枚のプリントが宿題として出ているところまでは覚えているけれど、他は忘れた。



「いいんだよ」



「ありがとう」



わたしと美咲は、よくお互い何かを忘れることが本当に日常茶飯事で時々、奈緒に呆れられる。



「美咲は、今回も英検受けるの?」



「うん」



美咲は、英語が得意で何度も検定を受けては合格している。外国の人と英語の会話をしていてもおかしくないくらいだ。




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