お前がいる場所が、好き。Ⅰ

わたし達は、パンフレットを見てサメのいる水槽へと向かう。



「ここは……。ジンベエザメとトラフザメだな」



いきなり1匹のサメが泳いできて、ぎろっとした目とわたしの目が合った。



「うわっ! びっくりしたー」



「なーんだ、やっぱり怖がってたんじゃないか」



寺本が面白がって、わたしをからかってくる。



「だーかーらー! 違うの! 別に水槽の中に入らなかったら食べられないって!」



「だよな! ちょっとやりすぎたな、わりぃ。つーか、知ってる?」



「何を?」



知っている、と聞かれても何をどう知っているのか言ってくれないと全くわからない。



「サメって、別に人間は餌としてないって」



「え!? そうなの!?」



わたしは、何度も人がサメに攻撃されたニュースをテレビで見たのでてっきり餌としているのかと思った。



「ただ、サメは人間をアザラシとかイルカとかに見間違えてるだけなんだよ」



「……え? わたし達のどこがイルカなんだろ」



口を小さく開けたまま、わたしはしばらく何も言葉を発せなかった。



「ぶっ。お前、まーた弟や妹みてえな顔してる! リアクションも似過ぎ!」



寺本は、けらけら笑いだした。



「えー! もう、いちいちわたしのこと子供扱いしないでよー」



本当に彼ったら、わたしのことを何歳だと思っているんだろう。




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