お前がいる場所が、好き。Ⅰ

「あっ。このイルカのマスコット、可愛いな」



わたしが見つけたのは、イルカのマスコットのキーホルダーだった。きれいな水色で、つぶらな瞳をしているのが、とてもかわいい。



「買ったら? 全然高くないし」



わたしの様子を見て、いぶかしげに寺本が言った。



「ねえねえ、一緒に買わない?」



「どういうこと?」



鈍いな、こういう流れだったらわたしが何を一緒に買おうとしているのか分かるじゃない。



「だーかーらー、2人で同じものを買おうよってこと。このイルカのマスコット!」



「はぁ? そ、それは女子とやれよ。俺がお前みてえな女子とお揃いのもん持つとか、恥ずいだろ!」



寺本は、真っ赤にさせて怒った。



「しょうがないなー」



「当たり前だろ! じゃ、お前はどうなんだよ? 男子とお揃いに堂々と買うこと出来んのか?」



「うーん、どうだろう?」



「お前なぁ……」



腕を組んで呆れる寺本をよそに、わたしはイルカのマスコットを買いに行った。




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