お前がいる場所が、好き。Ⅰ
携帯からメールの着信音が流れた。
『今日は、付き合わせて悪かったな。
俺、水族館、好きでさ』
という寺本からのメールだった。
いつも通り、短いメールだ。
短いし、特に大切なことも書かれていない。水族館が好き、ということなんて至って普通のことだ。
それなのに、少し心臓が震えだして身体も無意識に動いたりしてしまう。
『ううん、こっちこそありがとう。
わたしも水族館が好きだよ』
わたしは、そう打って送信した。
何故だか、『水族館が好き』の“すき”という文字を打つことも緊張してしまい少し時間がかかった。