お前がいる場所が、好き。Ⅰ

教室に入ると、すでに奈緒は席について、読書をしていた。



「あっ、奈緒! おはよー」



「おはよ」



奈緒は、本を閉じた。彼女が手を振ったので、水色のシュシュでポニーテールにしている髪が少し動いた。



「再来週の土曜、よろしくね」



再来週の土曜日は、奈緒と美咲と勉強する日なのだ。わたしと美咲は、よく奈緒に勉強を教えてもらっている。



「楽しみだなあ、この3人で勉強するって、なぜか楽しいんだよね」



美咲が大きな目をパチパチさせながら、言った。



「それって、多分3人でいるから、だね」



わたしが言うと、美咲は三つ編みを動かしながら頷いた。奈緒のシュシュの下のポニーテールも揺れている。


こうしてみると、本当に2人はおしゃれだなあ、と思ってしまう。わたしは、ただのセミロングなので、2人のように髪を結んでいない。本当に、わたしは地味な女子なのだ。




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