お前がいる場所が、好き。Ⅰ
君の幸せのために
翌日、学校へ行くと、おはよう、という声がして振り向くと奈緒が歩いていた。
「ああ、奈緒。おはよ」
「あれ? 沙織、いつの間にかマスコットつけたの?」
奈緒が、わたしのバッグのキーホルダーに気がついた。
「あー、昨日の水族館で買ったの」
「沙織ー、デート楽しかったぁ?」
美咲が焦げ茶色の三つ編みを揺らしながら、わたしの肩に手を置いてきた。
「だからデートじゃないの! ただのお出かけ!」
「分かったよ、もう。それで? 水族館、どんなだったの?」
「イルカのショーが見れたことが1番の思い出だったかな」
わたしがこう言うと予想していたのか奈緒は、やっぱり、という風に、
「沙織は本当にイルカが大好きなんだね」
と言った。