お前がいる場所が、好き。Ⅰ
一限目の授業が終わり、休み時間になった。
奈緒と美咲といつも通り雑談をしていると、
「栗原さん、可愛いよなー」
という廊下で男子の声が聞こえて、わたし達は思わず耳を傾けた。
「可愛いけどさ、桜花ちゃん好きな人いるらしいぜ?」
「マジかよ! 栗原さんの好きな人ってどんな男だ?」
「くっそー! 羨ましいよなー! この学校にはいないらしいし」
そう言いながら、歩いている男子達を見て、わたし達は唖然とした。
「噂が広まってない?」
「なにがどうなって……。栗原さんに好きな人がいるってなったんだろう」
奈緒と美咲も、ぼーっと立ったまま、そんな風に話している。